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白、黒、壁。

僕は壁を見つめている。

布団の上で胡座を組んで僕は珈琲を一口飲む。

僕は壁を見つめている。

僕の自宅の壁は白い。

壁の前には白い冷蔵庫に黒いクロスバイクがお互いを睨むように置かれている。

白と黒で構成されている僕の自宅で最も白を持っているのは壁である。

僕の自宅で最も存在感があるのは壁なのである。

僕はその壁に塗られた白に圧倒される。

 

僕は夜が好きだった。

夜は黒い。

僕は服装も黒を好んで着ていた。

全身黒で飾っていたせいか他者に痛い視線を向けられることもあった。

そして、僕の内的世界も黒かったと思う。

白とは対極にある内的世界が僕の中には広がっていた。

前に進もうと足掻いているのだけど足は泥にまみれてぬかるみに足を取られて前に中々進まない。光はたまに顔を見せてはすぐに消える。暗い黒の中だったから他者に見られることはなかった。

僕は黒かった。

でも黒が好きだったのである。居心地も良かった。

白は全て見られているようで耐えられなかった。

しかし、そんな白を纏える人に憧れた。

自分をさらけ出せる人物に憧れた。

 

今の僕の自宅は黒と白が多いが半分以上が白で塗られている。

僕の内的世界が白に変わりつつあるのかもしれない。

自らをさらけ出すことが少しづつ出来るようになったのかもしれない。

 

僕は今、壁を見ている。

壁が僕を見ている。

壁と視線があった。

壁はニヤリと笑う。

どうしたことだろう。壁が近づいてくる

黒のクロスバイクも床も飲み込み白に変えながら僕の目の前で壁は止まった。

壁は言った

「白に変わることは解放ではない、我々が真に自由でいられるのは黒を持ち合わせてこそなのである」

僕は、ごくりと唾を飲み込み目を閉じた。